ネトフリにクリスティのねじれた家があったので観てみた
クリスティの作品でノンシリーズはほぼ読んだことがないので、これも多分読んでない。読んでいたとしても全然ピンとこないし予備知識ゼロでした。
面白かったけどね
はじめに書いておくと、映画としては情報足りなくてついていけなかったり納得感がすくないことがあった。私みたいにすぐに原作ネタバレを見ちゃう人か、原作知ってる人じゃないと「???」な部分が多いかもしれないです。それでもわたしは面白かったけど。ミステリっていうより泥沼お家騒動です。
面白かった理由として、とにかくグレン・クローズがめちゃくちゃ格好良くて最高。彼女はキアヌが出てた「危険な情事」のメイン人物の人だね。どっかで見たことあるなとは思ってたけど、作品も名前も思い出せずググりました。
で、ストーリーについての感想(あらすじとかは書きません)。真犯人は意外な人物でものすごく驚いたけど、確かにこれはノンシリーズじゃなきゃ成り立たない。一応探偵役がいるんだけど「名探偵」ではないのです。ポワロやマープルがいたらきっと犯人の本質にすぐに気付いて即解決になっていた事件の様に思う。
仮に即解決、とはいかなくてもあのラストにはならなさそう。
まずポワロでもマープルでも、あんまり読んだことないけどクインでも、絶対ナニーとコックには話を聞いていたはずだし、弁護士やロジャー(被害者の息子で一つ会社を任されてる)の秘書あたりにも根掘り葉掘り聞いていたと思う。家の人たちも1人くらいはうまく手名付けて疑惑が湧くような言動を引っ張り出して、早々にターゲット絞れたんではないかなー、と。名探偵達ならこうしたかもを想像しながら見るのも面白い。
もしかして原作ではチャールズも聞いていたりするのだろうか?わからんけど関係者から有益な情報は引き出せていなかったようにみえるな。実はちょいちょい確信というか真実をもらしている人物がいたりするんだけど、なんかこの探偵役は掘り下げないんだわ。クリスティの探偵シリーズものを読んでる人なら彼のやり方にやきもきすること間違いない。
この話の犯人のサイコパスぷりがすごいです。平然としとる。ちょっと変な人物なんだけど、周りがみんな変だし、この人もこういう人なんかなーって感じだけどサイコでした…。いや、サイコパスではないかもしれないな。むしろ人をコロして達成感を得て、自分をほめてそう。善悪の判断がおかしい。
後述のジョセフィンがいった通り「犯人は意外な人物」でした。
主人公で探偵役のチャールズ・ヘイワードさん。探偵としての活躍はほとんどなかった(あっても最後のアレを見つけるところくらいかな)って感じなんだけど。
ソフィア〜犯人疑惑のある1人。被害者の孫で、自分の依頼人で、元カノ〜に未練アリアリな風で、彼女にアプローチして拒まれたりしててどーしょーもねえ若造。それも彼女から情報を得るためのアクションかと思いきやそうでもないっていう。でも本人は至って真面目に探偵してるつもりの人です。
でもそんな探偵としては凡人な彼だけどメンタルは鬼強で、そんなメンタルのおかげか行動力がすごい。ズカズカと人の家で好き放題に調べ回る。
ぎりぎりまで犯人に振り回された凡探偵の行動力のおかげで、これ以上の犠牲が出なかったともいえる。もうちょっと遅かったら犯人がアレする前にもう1人犠牲者が出てもおかしくなかった。犯人が置かれている状況とサイコっぷりを考えたら、やるでしょ。
凡探偵でも行動力がなかったらやっぱり間に合わなかったかも。ターゲットにされそうな明確はなかったと思うけど、あの人はきっとやられていた。
逆に相手が名探偵だったら、序盤から犯人も余計な言動をしなかったかもしれない。(それでも怪しいところを聞き出しちゃうのが、クリスティの描く名探偵なんだけど)
うまくできてる。こういう登場人物だから、こういう経緯を辿って、あーゆー結末になるんだっていうのがしっくりくる作品だった。原作とは多少相違があるようだけど人物描写はおんなじではないかな。
クリスティ先生すごい最高、スキ。
あとあの家の人たちがみんな性格が悪くて最高。でもみんな傷ついてて、それを自分で解決しようとしないで誰かになんとかしてほしいと思ってる。自分の人生がうまくいかないのは、誰か他の人のせいだと思ってる。実際には相当恵まれた人たちなんだけど。
でもその一家の中でも自分で決めて進んでいく人たちもいて、それがイーディア伯母さんとソフィアとジョセフィン。
イーディアは被害者の最初の妻の姉だから、被害者のレオニディスの血筋じゃなくて、その妻デ・ハヴィランド家の出身。この役をグレン・クローズが演じててとにかく格好いい。格好良すぎるんだぜ。猟銃?ぶっ放したり、ぎゃぎゃぎゃーっと車運転したりする。なんなら庭仕事も自分でするこの家を取り仕切ってるすげえ人。でも容疑者のブレンダを心配したりしてこの家の中では厳しく優しい人、そして怪しさ満点の行動をする。
ソフィアは祖父(被害者)からは見た目はデ・ハヴィランドだけど血はレオニディスって評されてたらしい。
ジョセフィンの性格はは映画では言及されてなかったと思うけど、原作ではデ・ハヴィランドのあの人に思考が似てるっていう設定のよう。
なんかさ、レオニディスの人たちはまあまあ拗らせてて、メンヘラってて考え方もやべえ奴らばっかりなんだけど、なんか基準は普通の人なんだよね。チャールズがこの家に最初にきた時にソフィアが「この家の人たちはoddだから」っていってるんだけど、そうでもないというか。性格悪いし神経症的だけど程度の問題なのよ。ハヴィランドの方が結構過激というか、え?そんなことでそれやっちゃうの?って気がしました。
ねじれた家ってタイトルは登場人物の性質だけじゃなくて、この血筋、お家柄というかお家の性質にも当てはまるなぁ。
ちなみにレオニディスはソフィアの祖父がビジネスに成功した成り上がりでハヴィランドは富豪の伯爵家(だったっけ?)っていう設定です。価値観が違う、物事の優先順位が違う。
わたしはこの作品は面白かったなぁ。ミステリとしてはいまひとつ冗長な気がするけど、ノンシリーズならではの面白さでした。昼ドラサスペンスって感じね
あとユースタスくんのおかげでscrewという単語の新しい使い方を覚えました。使うことはないと思うが。